子どもと一緒にマザーグース&ナーサリーライムを楽しもう!

子どもと一緒にマザーグース&ナーサリーライムを楽しもう!

「きらきら光る、お空の星よ~ まばたきしては、みんなをみてる~ きらきら光る、お空の星よ~」

この歌を知らない人はいません。

これは「マザーグース(Mother Goose)」といって英語圏の「伝承童謡や詩」で、日本でいう「童謡・わらべうた」です。「マザーグース」はアメリカでの呼び方で、イギリスでは「ナーサリーライム(Nursery Rhymes)」といいます。しかし日本のわらべうたのように、すべてに音楽や曲がついているとは限らず、むしろ「詩」だけのものの方がたくさんあります。

このマザーグースやナーサリーライムは英語圏の子どもたちが最初に受ける言葉のレッスンです。

言葉そのもののレッスンでもありますが、心の形成に大きな影響を与えています。かのビートルズもこのマザーグースやナーサリーライムから詩を引用しています。また、映画にも影響を与えていて、たくさんの映画にマザーグースに出てくる言葉が引用されています。

日本人でマザーグースやナーサリーライムを知っている人は「日本のわらべうたのようなイギリスやアメリカの子どもの歌」「幼児英語教室で習った英語の歌」「怖くて残酷な歌」「ナンセンスな内容のもの」などなどいろんな意見が出てきます。

しかし、マザーグースやナーサリーライムは英語圏の子どもたちにとって日本人が考えるより密接なもので、切っても切り離すことができないものです。幼少のころから、親やおじいさん、おばあさん、学校の先生などに本で読んでもらったり、口ずさんだりして伝承されています。

国は違ったとしても、英語圏の人々にとって「共通言語」のようなものといっても過言ではありません。

そして、英語圏の人々のように、日本人のわたしたちにとっても、小さい子どもから高校生・社会人といった大人までの英語教材になります。

今回は、マザーグースやナーサリーライムの魅力とその紹介をしつつ、わたしたちがどのようにして英語学習に役立てたらいいのかということをお伝えしたいと思います。

目次

マザーグース&ナーサリーライム

「マザーグース」とか「ナーサリーライム」といいますが、そもそも一体何なのでしょうか?いつからどこで始まったのでしょうか?そして、具体的な2つの違いは何なのでしょうか?

いくつかの疑問に答えていきたいと思います。

マザーグースやナーサリーライムは、子守唄、物語、早口言葉、かぞえうた、なぞなぞなど、様々な唄を含んだもので、その数はなんと1000編以上あるといわれています。

マザーグースは、英語の詩の原点であり、英語圏の人々の間に深く浸透している、子どもと大人の共通文化です。

すべての唄に「キラキラ星」のように「曲」や「音楽」がついているわけではありません。むしろもともとは「詩」のようなものから始まったようです。

その原点はというと、もともとフランスのシャルル・ペロー(1628-1703)の童話集がイギリスで翻訳されて出版されたとき、その副題が「Mother Goose’s Tales」と名付けられたことから始まり、広まっていきます。このイギリスで人気のあった童話集には「赤ずきん」や「シンデレラ」なども載っています。

その人気の童話集のタイトルを、イギリスの出版業者ジョン・ニューベリーが拝借して自分が編集した童謡集に「Mother Goose’s Melody」と名付けて後に出版しました。これ以降、伝承童謡集に「Mother Goose」という名前が付けられるようになりました。

そして、「マザーグース」と「ナーサリーライム」の違いですが、アメリカで「マザーグース」といわれているものも、イギリスではあまり理解されません。

アメリカでは、孫たちに童謡を歌って聞かせた、エリザベス・グースという実在の人物が、マザーグースのモデルとなっています。しかし、この人物はお墓も存在しないし、実在しなかったという説もありますが、今でも多くの人がこのエリザベス・グースが実在したという説を信じているようです。

一方、イギリスでは「ナーサリーライム」という言葉が一般的で「マザーグース」という言葉を知っている人は少ないようです。

「ナーサリーライム」という言葉は、「ナーサリー」は「子どもの部屋」、「ライム」は「韻を踏んだ詩」という意味があります。つまりイギリスでは、「幼児の押韻詩」として一般的に知られているのです。

ところで、日本には西洋の文化がアメリカ経由で入ってくるため、「マザーグース=伝承童謡」として理解され、あまり「ナーサリーライム」が伝承童謡とはされないのです。そして、日本の詩人・童謡作家の北原白秋も「まざあ・ぐうす」として伝承童謡を日本に広めています。

白秋はマザーグースを「不思議で、美しくて、おかしくて、ばかばかしくて、おもしろくて、なさけなくて、おこりたくて、わらいたくて、うたいたくなる」ものとして紹介しています。

 

ビートルズ、物語などにもつかわれているマザーグースやナーサリーライム

先ほど述べたように、実はビートルズもこのマザーグースやナーサリーライムから多くの歌詞を引用しています。

マザーグースやナーサリーライムは、英語圏の子どもだけでなく大人にとってなくてはならないものです。無意識のうちに体に染みつき、心を形成してきています。

日本人のわたしたちにとってもわらべうたのようなものは、子どものころから歌われているなじみのあるものです。

しかしマザーグースやナーサリーライムは、日本人がわらべ歌に親しむよりもより身近なものなのでしょう。なぜかというと、一般社会でも新聞にそのまま詩の引用が使われていたり、歌手や映画が作品に詩を引用している様子を見るとそれがわかります。

では、ここでいくつかマザーグースやナーサリーライムの中に出てくる詩と、それらを引用した作品を紹介したいと思います。

「The Star(Twinkle twinkle little star):キラキラ星」―ジェーン・ティラー、1806年頃

まずはなじみ深い「キラキラ星」です。わたしたちが良く耳にするキラキラ星は、とても短く簡単な訳ですが、実際のマザーグースやナーサリーライムのものは、とても長いです。しっかり訳すとこのようになります。

kirakira

「Humpty Dumpty:ハンプティー ダンプティー」

次は、マザーグースやナーサリーライムの中ではとても身近な詩です。これはなぞなぞ唄で、この詩を読み終わった後「これなーんだ?」と質問します。

humpty

「ビートルズ」

実は、世界的人気のあるビートルズも、マザーグースやナーサリーライムの詩を引用しています。

ビートルズ

このビートルズの歌詞の中に使われたものが、以下の詩です。

ビートルズ抜き出し

「Tweedledum and Tweedledee:トゥイードゥルダムとトゥイ―ドゥルディー」

そして、かの有名なルイス・キャロルも、アリスの物語の中で詩をたくさん引用しています。引用されている「鏡の中のアリス」の第4章を見てみましょう。

tweedle

アリスのお話を知っている人は、「トゥイ―ドゥルダムとトゥイードゥルディー」はアリスのお話しに出てくる双子という印象が強いかもしれませんが、「アリス」の作者であるルイスキャロルが「ナーサリーライム」から引用したものです。他にも「ハンプティーダンプティー」や「ハートの女王」の詩なども引用しています。

アリスの作品だけでなくほかにも数えたらきりがないほど引用されています。例えば、映画はボブ・ウッドフォードの「オール・ザ・プレジデントメン」(1976年)、ポピュラー音楽ではアレサ・フランクリンの「オール・キングス・ホーシーズ」(1972年)、物語ではP.L.トラバースの「公園のメアリー・ポピンズ」(1952年)などといった詩を引用した作品は数知れません。いかにマザーグースやナーサリーライムが英国圏の人々の大人から子供まで、深く結びついていているかということがわかります。そして英語圏の人々にとって、聖書、シェイクスピアと同じようにマザーグースやナーサリーライムも人々の「根っこ」となっていて、独特の世界観や文化を創造する「基礎」となっているのです。

 

日本人にとっての活用法

英語圏の子どもたちは、幼いころから周りの大人や、学校などでマザーグースやナーサリーライムを耳にします。そのため、幼少のころより自然と英語の「音」や「リズム」に親しみ、「文章」「単語」「言い回し」「文法」「押韻」などに触れて育ちます。そこで、わたしたち日本人も是非このマザーグースやナーサリーライムを活用した英語学習をしましょう。

たいていどの本や絵本にもマザーグースやナーサリーライムの独特の世界観の挿絵が入っていて、親しみやすい英語教材になると思います。また、中にはリズムだけでなく音楽がついたものが収録されたCD付き絵本も売っています。

おすすめは親子で一緒に毎日、いろいろな詩に触れることです。

それでは、短い詩をもとに、日本では何年生で習う英語に相当するのかということを見ていきたいと思います。

「Pussy Cat, Pussy Cat:ねこちゃん、ねこちゃん」という短い詩の文を一行ずつみて、どのようなことが学べるのかを見ていきたいと思います。

まず初めに、ひとつひとつの単語の意味や読み方が学習できるということは言うまでもありません。

 

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細かい話をすると、単語そのものの習得にもなるし、単語の音であるフォニックスや文章のリズムも感じることができます。

この短い詩の中には、大きくとらえて次のような、英語の学習ができます。

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このような、英語習得に必要な様々な内容が、短い詩の中に盛り込まれおり、これを毎日繰り返し発音したり、歌ったりすることで自然と英語の文法や熟語などに親しむことができます。

また普段、日本語を話しているから気が付かないかもしれませんが、日本語のリズムは強弱が少なく一定のリズムだったり、文章に音節のようなものがなく流れるような感じで話したりしています。逆に、英語はリズムが良く、音にも強弱があります。

英語のような強弱のある表現豊かなリズムに、マザーグースやナーサリーライの詩を通して慣れておく必要があり、これがリスニング強化の手助けになります。また英語の「キレイな発音」を目指すことも必要かもしれませんが、リズムや強弱による「強勢(ストレス)」を学ぶことで、より通じやすい英語を習得することができるのです。

マザーグースやナーサリーライムは、「音」「リズム」「文章」「単語」「言い回し」「文法」「押韻」といった英語習得に必要な様々な条件を自然に身に付けさせてくれるのです。

英語圏の子どもたちのみならず、わたしたちもマザーグースやナーサリーライムを毎日聞きながら練習することで、自然と英語の言葉のレッスンと、英語圏の文化を体験する機会を両方同時に行えるのです。

しかし、正直このリズムとか、音の強弱というのは、普段「単調」に話す私たち日本人にとっては、表現しにくいものです。

もし、この独特のリズムがわからなかったり、子どもに読み聞かせをしたりするのに自信がないという場合は、外国人に実際に読んでもらうと良いと思います。英語圏の人々や、英語教育に熱心な国で育った人々は正確な発音やリズムの取り方を知っていると思います。

もし、外国人が周りにいないという場合は「子ども向けオンライン英会話」を活用するといいと思います。

「子ども向けオンライン英会話」というのは、インターネットで受ける英語の格安レッスンです。

フィリピンやその他、世界の先生たちと英会話が楽しめるというもので、大体25分で1レッスンのところが多く、ワンレッスン数百円というところもあります。その運営会社にもよるのかもしれませんが、自分のレッスンは自分で組み立てて、好きなことを学ぶことができます。

だから「マザーグース(ナーサリーライム)の読み聞かせをしてほしい」とか、「マザーグース(ナーサリーライム)を一緒に歌ってほしい」などというお願いもできます。

その機会を利用して、苦手意識の高い親でも、英語圏の外国人が自然と身につける「マザーグース(ナーサリーライム)」を経験させてあげることができるのです。

ぜひこれを機会に、お家でも子どもと一緒に楽しくマザーグースやナーサリーライムを始めてみませんか?

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河内咲子 administrator

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