著者アーカイブ 河内咲子

思った時が始め時!赤ちゃんや子どもに英語をたくさん聞かせよう!

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「赤ちゃんのころにたくさん話しかけるといいよ。賢い子になるよ。」という話を聞いたことはありませんか?

これは、他の子よりも早く、文字が書ける、計算ができる、といったただ知識だけが豊富な子どもを意味しているのではありません。「賢い子」というのは、いろいろな意味があると思いますが、基本的には自分で考え、判断ができ、問題解決ができる子のことを言うのだと思います。この能力は、脳の前方にある「前頭前野」というところが関係しています。

前頭前野をフルに働かせるためには、幼少のころより、たくさん話しかけたり、歌ったり、見せたり、聞かせたりといった様々な刺激によって発達していきます。

そして、この時期は言語習得に大切な時期でもあります。言語というのは、耳から入った情報を脳で処理して、その後、声を発するという発話(話すこと)につながります。その一連の流れがスムーズにできることで言語を話せるのです。

そしてその機能を十分に生かすためには、なによりもまず一番大切なのが「耳」です。

実は、生まれてすぐの赤ちゃんの耳が一番、「互換性」のある耳なのです。つまり、いろいろな音を大人よりも、小学生よりも、「聞き取る」ことができるのです。

この、耳が一番柔軟に働く時期に、どんどんいい情報を伝えるということが重要なのです。

そしてこの時期に、英語の情報をたくさん入れることによって、子どもは英語を聴きとる本来の能力を最大に生かすことができるのです。

子どもは自然と英語を習得できるとはどういうことか

赤ちゃんは耳が良く、言語を習得するのにとても優れているという話を聞いたことがあると思います。一方で、日本人は英語を聴き取ることができないという話を聞いたこともあると思います。

実は、これには「周波数」の聴き取りが大きく関係しています。

赤ちゃんの耳は、たくさんの音を聴き取ることができます。音は、まず音が発せられたところから振動となって空気中を伝わってきます。これを「周波数」と言い表しますが、この周波数は1秒間にどれだけ振動するかを表すもので、これが音として耳に伝わります。その振動数は、聴覚神経を通って脳に入り、音を聴き分けられるのです。

例えば、1秒間に100回振動したら、それは100Hz(ヘルツ)と表します。

日本人が英語をうまく聞き取れないかというと、日本語の周波数は125Hz~1500Hzに対して、英語の周波数は2000Hz~12000Hzであるため、日本人の耳では英語を聴き取ることができないのです。

しかし実は、生まれてすぐの赤ちゃんは16Hz~16000Hzととても広い音を聴き分けられます。つまり16Hz~16000Hzという空気中を振動して伝わってくる音を聴き取る能力が豊富だということです。

耳と脳の関係を明かす

これは各言語の周波数の範囲(パスバンド)です。

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人間の赤ちゃんは生まれたときには、16Hz~16000Hzの周波数の音を聴き分けることができます。この表からわかるように、もし私たちが赤ちゃんに帰れるとしたら、いとも簡単に英語を聴き取ることができるということがわかります。

では、なぜ赤ちゃんのころには英語を聞き取ることができるのに、大人になると英語を聴き取れる能力がなくなってしまうのでしょうか?

それは、この周波数の範囲が徐々に狭くなっていくからです。つまり、赤ちゃんのころはとても広い範囲の音を聞き分けることができるのですが、成長するにつれて聞かない周波数の音は聞き取る必要がないと脳が判断し、やがてその能力を失い、赤ちゃんが生まれた環境で使われない音は聴き取れなくなっていくのです。

日本で生まれ育ったわたしたちの環境に英語の音がないので、本来持っている英語の音を聞き分ける能力はいつしか自然と消え去ってしまうのです。

しかし、子どもに情報を与え続けることで、つまり有益な情報を耳から入れ続けることで、人間が本来持っている能力を保ち続けることができます。

耳と脳の関係

英語の音を聞き分ける能力がなくなってしまう前にできることは、どのようなことがあるのでしょうか?

それには、まずは耳と脳の関係を知る必要があります。

赤ちゃんが一番初めに行う情報収集の方法は、耳からです。耳は人間が成長していくのにとても大切な働きをします。

〈耳の構造〉

構造と働き
鼓膜 音のレンズで音をとらえる
中耳 音の調整

鼓膜張筋とアブミ骨筋が調整し合って耳小骨を動かし、どの周波数かを聴き取る

内耳 周波数ごとに音を分析し、脳に音の情報を「電気信号」に変えて送る

 

〈鼓膜張筋とアブミ骨筋〉

耳の中1

耳は空気中を伝わる音の振動をキャッチします。その音の振動は、電気刺激として脳に伝達、知覚されます。それがもう一度耳に戻ることで、それがどんな音なのかが理解され、次の言葉を発する(話す)という流れにつながります。

このようにして、耳のそれぞれの部分が働いて、連動し合って、体の中に音を取り込むということが「聴く」ということです。

自然な流れで自然に英語を習得しよう

先ほどもお話ししたように、幼少期の耳は、あらゆる周波数の聴き取りに柔軟です。

この時期にどのような働きかけをしたら、「英語を習得する」ことにつながるのでしょうか?

生まれたての赤ちゃんは16Hz~16000Hzの周波数の音を聞き分ける能力をもって生まれてきます。

しかし、この能力は、例えば日本語しか使わない環境だったら、日本語の125Hz~1500Hz以外の音を聴き分ける能力は消えてしまいます。せっかく持っている16Hz~16000HZの聴き分け能力は、日常で使われる部分しか必要ないと感じ、残らないのです。

だからと言って何か特別なことをしなくてはならないのではなく、毎日子どもにたくさんの音を聞かせるということが大切です。耳の機能が柔軟なうちに、いろいろな音を聞かせるということです。

実は、一見関係ないと思われる「絶対音感(「ド」を鳴らしたとき「ド」と瞬時に判断できる能力)」もこの時期に身につきます。

重要なのは親が赤ちゃんにたくさん話しかけたり、親と子どもがたくさん話をしたりするということです。

わたしたちは、本来生まれ持っている聞き分ける力を、いかに保つかということが大切になってくるのです。そのためには、幼少のころからの働きかけが大切です。

ではどうしたら良いかというと、英語ができる人が子どもに直接話しかけるのが最も効果的です。しかし、そのような環境に恵まれている人は、なかなかいないでしょう。

そこで、だれもが簡単にできるのが、CDやDVDをかけ流しするという方法です。

さらに効果的にするために、ただ、かけ流しをするのではなくて、親も一緒にCDを聴いて、DVDを見て、歌ったり発音したりすると良いでしょう。そうすることで親も一緒に勉強することができます。その親が楽しんで学んでいる姿を見せると、子どもに英語の楽しさが伝わります。単にかけ流しをするよりも、効果が高まります。

また、英語の絵本の読み聞かせも効果があります。読み聞かせは英語の周波数になれるだけではないメリットがあります。例えば、情緒を育てたり、疑似体験したりできる魅力があります。

耳は、人間が成長するのにとても大切な器官です。子どもの可能性は無限大です。英語でどんどん耳に働きかけて、英語を聴き取れる耳を育てましょう。そして、思った時が始め時です。もう園児だから…とか、小学生だから…と考えずに、子どもの可能性を信じて「耳」にどんどん働きかけていきましょう!

ネイティブの子どもは「フォニックス」で読み書きを身につける!

みなさんは、お子さんに英語絵本の読み聞かせをしていますか?絵本はいろいろな気持ちを感じ取ったり、知識を身に付けたり、また疑似体験をさせたり、視野を広めたりするのに役立ちます。

しかし、「読んであげたいけれど、なんて書いてあるのかわからない。」

「英語は苦手だから、間違った発音になってしまうのではないか。」などといった心配の声も少なくはありません。

 

ちょっとその前に、これを読んでみてください。

「あ、い、う、え、お。か、き、く、け、こ。さ、し、す、せ、そ…」

ごめんなさい。馬鹿にしているわけではありません。

 

では次です。声に出して読んでみてください。

「A、B、C、D、E、F、G…」

これまた、馬鹿にしているわけではありませんが、

「エィ、ビー、スィー、ディー、イー、エフ、ジー…」

と読みますよね。大抵の大人ならわかりますし、英語に触れたことのある子どもならわかると思います。

 

でも、実はアルファベットにはもう一つの読み方があります。

「A、B、C、D、E、F、G…」

「ェア、バ、ク(ス)、デュ、エ、フ、ガ…

これはいかがでしょうか?

 

これは意外と、知られていないかもしれません。この読み方は、「フォニックス」といいます。

大変重要ですが、わたしたち大人は学校教育で学んできていません。

ところが、このフォニックスというのは、子どもはもちろん、英語の絵本を子どもに読み聞かせてあげたい大人も、身に付けるべきものなのです!

アルファベットの2つの「顔」

実は、アルファベットには2つの「顔」があります。

前者の「エィ、ビー、スィー、ディー、イー、エフ、ジー…」といった「名前読み」と

後者の「ェア、バ、ク(ス)、デュ、エ、フ、ガ…」の「音読み」です。

この「ェア、バ、ク(ス)、デュ、エ、フ、ガ…」という「音読み」を「フォニックス」と言います。

フォニックスというのは、「読み書き」を身に付けるうえで、「文字と音を結び付け」て、単語をどのように「読んだら」いいのかという時に大切になってきます。フォニックスというのは、発音のためでもありますが、何といっても文章を読むためにあります。

このような奇妙な「音読み=フォニックス」ですが、これが実はすごいのです!

このフォニックスを利用して、単語をどう読むかが身につけば、なんと英語の絵本や本が読めるようになるのです。

英語圏の小学校前の幼稚園などでは、この「フォニックス」を使った教育が行われています。

わたしの滞在したカナダの小学校(カナダでは日本の年長に当たる子どもたちも、「キンダー」という小学校のクラスで学んでいる)でも、このフォニックスを使った授業が行われています。日本の学校教育ではなじみのないフォニックスですが、英語圏の学校の先生たちは、英語の読みを教えるのにこのフォニックスを当然のように使います。

ところが、私たち日本人には、英単語を読むのにすこし厄介なものがあります。

それは、「ローマ字」です。

わたしたちは小学生中学年の時に、ローマ字を習います。

このローマ字で習った「A」=「ア」、「I」=「イ」、「U」=「ウ」といった音は、「英単語」を読むのに、すこし邪魔になってしまいます。

例えば、「Mike(人物名)」を「ミケ」と読んでしまったり、「maze(迷路)」を「マゼ」と読んだりしてしまいます。

でも実際には、「Mike(人物名)」は「マイク」、「maze(迷路)」は「メイズ」というのが正しい読み方です。

しかし、このフォニックスを身に付ければ、そんな心配はいりません。

このように、同じアルファベットには、2つの「名前読み」と「音読み」という顔があり、その読み方もずいぶんと違うものがあることがわかります。

英文で書いてある看板や表示、絵本・本などを読めるようになるためには、フォニックスを習得する必要があります。しかし、英語そのものになじみがない子がいきなりフォニックスを学ぶと混乱してしまうことがあります。

そのため、まずはアルファベットそのものに慣れるため、「名前読み」である「エィ、ビー、スィー、ディー、イー、エフ、ジー…」をきちんと理解させたうえで、「音読み」である「ェア、バ、ク(ス)、デュ、エ、フ、ガ…」というフォニックスの音に慣れ親しんでいくという順番が大切です。

どのようにしてフォニックスを使う?

では次に、英語圏の子どもたちはこのフォニックスを使ってどのように単語の「読み」を習得していくのか説明します。

「apple:りんご」は、

「a(エイ)、p(ピー)、p(ピー)、l(エル)、e(イー)」と覚えるわけではありません。

そこで、このフォニックスが活躍します。

「a(ェア)、pp(プ)、l(ル)、e(前に母音があるときは後ろの母音は発音しない)」この音を最初はひとつずつ読みます。慣れてきたら徐々につなげるように読んでください。

具体的には、以下のように練習します。

  1. 「エァ」「エァ」「エァ」。「プル」「プル」「プル」。
  2. 「エァ」「プル」
  3. apple「エァプル」

 

「map:地図」は、日本語で言う「マップ」ではありません。

「m(ム)、a(ェア)、p(プ)」

  1. 「ム」「ム」「ム」。「エァ」「エァ」「エァ」。「プ」「プ」「プ」
  2. 「ム」「ェア」「プ」
  3. map「ムエァプ」

このようにして、一つ一つの音を組み合わせることによって「読み方」を学んでいきます。そして、これを何度も何度も繰り返しながら、また絵本や絵カードを組み合わせながら、英語圏の子どもたちは英単語や英文が読めるようになるのです。

日本語は難しい、英語は簡単!

日本語は「最も難しい言語のひとつ」と言われています。なぜなら、読んだり書いたりするためだけでも多数の文字を覚えなくてはならないからです。

ざっと数えてみると、「ひらがな(48文字)」「カタカナ(48文字)」「漢字(小学校常用漢字だけでも1000字以上)」を巧みに組み合わせています。

そのうえ、話したり聞いたりするためには、特殊な言い回しによって、意味合いが変わってくる文章もあります。

さらに日本語には、一つの単語に対して「尊敬語、謙譲語、丁寧語」といった敬語があります。同じ「(あるものを)見る」でも「ご覧になる(尊敬語)」「拝見する(謙譲語)」「見ます(丁寧語)」となって、相手が見るのか自分が見るのかという違いが言い回しによって変わってくるのです。

一方、英語は、はっきり言って日本語よりも簡単です。そもそも、アルファベットの数は26文字だけから成っているからです。

確かに、英語には「見る」という単語に対しては、「視覚的に見る」=「see」、「見ようとして見る」=「look」、「じっとあるものを見る」=「watch」といった意味合いの違いはあります。しかし英語は、日本語のように、「(あるものを)見る」という1つの単語に対して、3つ立場に立った言い回しがあるわけではありません。

とはいえ、英語は簡単とはいっても、1つだけ厄介なものがあります。それが「エァ、バ、ク(ス)、ドゥ、エ、フ、ガ…」という読み方をする「フォニックス」です。

日本語は「あ」は「あ」としか読みません。この1つの音さえ覚えれば、例えどんな難しい漢字でもふりがなさえあれば小学生でも読めます。

しかし、アルファベットを使った単語の場合、「a」は「エイ」というのではなく「ェア」と読みます。また、「oo」と母音が重なった場合「オー」ではなく「ウー」と読みます。(他にも、母音が重なった音や、子音が重なった音、子音と母音が組み合わさった音などがありますが、このページではとりあげません)

このように、アルファベットの「エイ」「ビー」「スィー」といった「名前読み」のほかに、発音のための違った「音読み」が存在するのです。そして中には、アルファベット同士の組み合わせによって、読み方つまり「音」が変わってくるものもあります。

英語圏の子どもたちは、普段から家庭でアルファベットの「名前読み」に触れているので、このフォニックスも自然に習得することができます。

では実際にどのようにフォニックスを読むのか以下の表で確認してみましょう。

アルファベット 名前 音出しのポイント
A エィ エァ エとアの間の音
B ビー 口を閉じてから強く
C スィー クッ 口の奥の方から
D ディー ドゥ 強く音を出し、ゥは短めに
E イー 口を横に引きエと強く
F エフ 下唇を軽くかみながら息を出す
G ジー 口の奥の方から
H エィチ 息を短く吐く
I アイ 口を横に開く
J ジェイ ジュ 口を丸め強めに短く
K ケイ 口の奥の方から
L エル 舌を上の歯ぐきにあてながら
M エム ン(ㇺ) 口を閉じたまま「ム」
N エヌ ン(ヌ) 舌を上の歯ぐきにあてながら
O オゥ 口を大きく開いて
P ピー 息だけ吐き出すようにして
Q キュウ クゥ 口の奥の方から
R アール ゥル 口をとがらせながら
S エス 上下の歯を軽く合わせながら
T ティー トゥ 上の前歯の裏に舌をつけて一気に出す
U ユー アッ 口をあまり開けずに喉の奥から小さく
V ヴィー 上の歯を下唇に軽く当てて(振動させる)
W ダブリュー ウッ 胸から
X エックス クス 歯を軽く閉じて
Y ワイ ィヤ 力を入れて
Z ズィー 上下の歯を軽く合わせながら

日本の子どもたちも、英語圏の子どもたちのように順序立ててフォニックスを習得する必要があります。

まずアルファベットの「名前読み(エィ、ビー、スィー、ディー、イー、エフ、ジー…)」から触れていきましょう。なぜなら、アルファベットを全く知らない状態でフォニックスの音読みの習得は難しいからです。

まずは、アルファベットとは何なのかを知る「名前読み」に親しんだ後、アルファベットの「音読み」であるフォニックスに触れていくと良いです。

フォニックスを習得しよう!

これまでただ「聞く」のが主流だった子どもも、「フォニックス」を知ることによって、日常の英語で表記されている物が、看板などの掲示物が、また、何といっても英語の本が読めるようになります。この、「読める」ということを知った時の子どもは、目の前に新しい道が開かれたようにパッと明るい表情になります。

なにも、これは英語だけのことではありません。思い出してください、小学1年生の時に習う「ひらがな」だけでも、わたしたちは家や町中にあるものが何と書いてあるのかわかったときは、ずいぶん視野が広がった経験をしてきました。

これと同じ経験を、英語の世界でも体感できるのです。

何といっても、これまではただの飾り感覚で「見る」だけの英単語や英文だったのが、このフォニックスを習得することによって、「読む」英単語や英文へと変わっていきます。

また、「読める」単語は、「書ける」ようになります。これは、英語を習得するうえで大きな基礎力となります。

読むことによって、自主的なインプット活動ができるようになるのです。

今回は紹介したフォニックスは、実はごく一部です。ここで紹介した以外にも多くのフォニックスがあります。アルファベット26文字に関係したほんの少しのものをご紹介しました。たとえアルファベット26文字とはいえ、母音、子音、子音と母音の組み合わせなど、結構奥が深いのがフォニックスです。

しかし、必ず身に付けたい基礎の部分なので、必ず習得しましょう。とはいえ、子どもにどのようにして具体的に教えたらいいのかわらない場合が多いと思います。そういう時は、やはり、幼少期にフォニックスを習ってきた、ネイティブや、第二言語として英語を習ってきた国々の人たちに習うのが一番の近道です。

もし、近所にフォニックスについて教えてくれる外国人がいたら、ぜひ習いたいものです。

また、外国人が講師の英会話教室の場合、フォニックスを教えるコースがあるかどうか、また、フォニックスを教えられる講師がいるかどうか確認するのがいいとおもいます。

しかし、一番手っ取り早いのは、子ども向けオンライン英会話を利用することです。個人指導なので、子ども向けオンライン英会話の講師に、「フォニックス」を教えられる講師を一覧から探したり、事務局に直接聞いたり、また、講師にフォニックスを教えてほしいと直接希望を出すといいと思います。

子ども向けオンライン英会話は、こういった融通が利くというのが優れている点です。しかも、通学型の英会話教室に比べて価格もかなり安く、自分の時間や曜日にあった日を選択でき、細かい要望もお願いすることができます。

ぜひ、こういった制度を利用して、読み書きの基本であるフォニックスを習得し、「聞く」英語から、「読み書き」ができる英語にステップアップしていきましょう。

子どもの英語発音~英語の「日本なまり」を気にするぐらいなら、「何を伝えたいか」を気にしよう!~

「自分の子どもには、ネイティブが話すようなキレイな発音の英語を話せるようになってもらいたい。」と思いませんか?

突然ですが、このインド人の話す英語を聞いてどう思いますか?

 

次はフィリピン人の話す英語です。

 

「なにいっているのかわからない!」「何語なんだろう…」「強烈な英語だな~」などと思ったのではないでしょうか。

インド英語の音声は、どうやらインドの女優さんがインタビューに答えています。こちらが、その英文です。

…It’s one of the recent one that I did, and it’s called luck by chance. It’s going down as one of the really funny things that I’ve done. That’s really good, really good.

 

フィリピン英語の音声は、男性がなまりのある英語でもみんな話そうよ!と語りかけています。こちらが、その英文です。

…Important thing is that we know understand each other. That’s why when be nice get together we talk in our own way and share stories.

 

インド人にしても、フィリピン人にしても、「なまり」がひどいですよね。

標準語・共通語とは異なる発音のことを特に「なまり」といいますが、英語では「accent:アクセント」といいます。

今聞いていただいたのは、「インドなまり」のある英語、「フィリピンなまり」のある英語だと言えます。

語弊があるといけないので、補足しますが、インド人やフィリピン人がすべてこのような、なまりのある英語で話すわけではありません。今回はわかりやすくするために、特になまりの強い人の音声を載せました。

このように、なまりがある英語はいわゆる「かっこいい英語」とはとてもかけ離れているように聞こえます。(失礼!)

ん?ちょっとまってよ…

インド英語、フィリピン英語のなまりのある発音を紹介しましたが、私たち日本人の英語ってどうなんでしょう?

実は、私たちの話す英語にもなまりが存在します。

日本人の話す英語は、

Janglish(ジャングリッシュ)

Japanglish(ジャパングリッシュ)

と言われています。

これは造語で、「日本人独特の発音がある英語」とか「和製英語」という意味で使われます。

つまり、日本人特有の発音があるという意味でもあり、日本人がオリジナルで作り出した英文や英単語などがあるという意味でもあります。

一方、子どもに英語教育を受けさせるときに、英語の発音にこだわって口を出してしまう親がいます。(私もその親の一人ですが…)

そのような親は、ネイティブのようなキレイな英語が「本物」の英語だと思いがちです。熱心である親ほど、「ネイティブが話すようようなキレイな発音でないといけない」と思ってしまうのです。

さらに、日本の英語教育の現場でも発音にとてもこだわる先生もいます。果たして、発音ってそんなに気にしないといけないものなのでしょうか?

もちろん、自分の言いたいことを相手にとって聞き取りやすい発音で伝えることは、大切なことです。

しかし、熱心な親や先生はきれいな発音の英語にフォーカスしすぎて、「話す内容」ではなく、「話す発音」について子どもにアレコレ助言してしまう傾向があります。そうなると、子どもは英語を話すことが楽しくなくなってしまい、英語を話そうという気力がなくなってしまいます。

大切なのは「音」ではなく、話の「内容」ということを忘れてはいけません。

 世界中にある英語のなまり

世界には、なんと15億人もの英語を使う人々がいます。

そのなかには、アメリカ系、ヨーロッパ系、オセアニア系、アジア系、アフリカ系など様々な国や人種の人々がいます。

アジア系の国々や地域では、インドだけではなく、フィリピン、シンガポール、マレーシア、香港など、母国語の発音に影響を受けたなまりのある英語が飛び交います。

例えば、フィリピンについてはスペイン統治時代があったため、スペイン語の影響を強く受けてできたタガログ語が、英語の発音にも影響を与えているようです。

わたしはカナダに住んでいたことがあります。カナダには、様々な国からの移民が住んでいます。そこで感じたことなのですが、発音がはっきりいってヒドイ人(すみません)でも、きちんとコミュニケーションがとれています。

話す内容を聞いてみると「なまり」がひどいだけで、ちゃんと「英語」を話しています。話している内容は、とても高度です。本当にただ、「なまりがあって発音が悪いだけ」なのです。そこでわたしは「自分の言いたいことが明確であれば、発音や少々の文法の間違いなど関係ない」と感じました。

一方、カナダで通訳翻訳の学校に通ったとき、その学校で教えている日本人の先生が「発音は命」というようなことを言っていました。「なるほど…確かに、せっかく伝えたいことがあっても発音がキレイでなければ、もったいない気がするな。」とわたしはそのときに思いました。

当たり前のことですが、「自分の言いたいことをきれいな発音で伝える」というのが一番の理想です。

しかし、どちらも大切なのだけれども、わたしの意見は「発音が悪くても、自分の伝えたいことをまず伝える」ことが大切なのではないかと思います。

先ほどのインド人の英語も立派な英語です。たとえなまりがあったとしても、アメリカ、カナダ、イギリスなどの国に行けば、きちんと自分の話したいことが相手に伝わります。日常的にも、仕事でも問題なくコミュニケーションが取れます。

実は、イギリス英語の中にも標準英語があります。その標準英語を話している人は、ほんの一握りなのです。「生粋の標準英語」を話している人はごく限られた人たちだけなのです。

つまり、英語の本場イギリスの国内にも「なまり」が存在するのです。逆になまりのないイギリス英語である「伝統的な標準英語(Received Pronunciation:リシーブドプロナンシエイション)」を話している人は、わずか数パーセントしかいないことがわかっています。イギリスでは階級や地域によって発音が違います。自分が標準英語を話さないことに対して、いちいち気にしているのでしょうか?

またアメリカでも同じです。「一般アメリカ英語(General American:ジェネラルアメリカン)」といって標準英語を話す人はごく限られた少数派なのです。

英語の標準語を話している人は、世界的に見てもごく限られた少数の人々で、逆になまりのある英語を話している人のほうが圧倒的に多いということなのです。

例を挙げると、世界と比較すると規模に大きな違いがありますが、日本語で言う「東京出身者が話す生粋の東京弁」といったところでしょうか。

このように、世界にはいろいろな国でいろいろな形の英語が話されています。そして今回は、発音にこだわりすぎず、あるがままの自分をあるがままの言葉で伝えることの大切さについてお伝えしたいと思います。

英語を話す人は世界総人口の約30%

英語は、約58か国と約21地域で公用語とされています。その数、およそ3.5億人と言われています。公用語とは、数か国語が使われている正式な国語として認められている言語のことを言います。

しかし、公用語でないにしても、地球全体で日常的に15億人もの人が英語で話したり使ったりしています。そして、私たち日本人のように日常的には英語を使わないけど、英語を外国語として学んでいるという人を合わせると、なんと18億人ともいわれています。

英語圏政界地図出典:ウィキペディア

では、英語を公用語として用いていている主な国をご紹介します。

アメリカ系の地域:アメリカ、カナダ、グレナダ、ジャマイカ、バハマ、セントルシア、ガイアナなど

ヨーロッパ系の地域:イギリス、アイルランド、マルタ、EU欧州連合(国ではないが英語も公用語のひとつ)など

オセアニア系の地域:オーストラリア、ニュージーランド、キリバス、サモア、ツバル、バヌアツ、パプアニューギニア、パラオ、フィジーなど

アジア系の地域:インド、フィリピン、シンガポール、パキスタン、スリランカなど

アフリカ系:ウガンダ、ガーナ、カメルーン、ガンビア、ケニア、ザンビア、ジンバブエ、タンザニア、ナイジェリア、ボツワナ、南アフリカ共和国、スーダン、ルアンダ、レソトなど

とてもすべて書ききれませんが、「え?こんな国も?」という国もあります。

アメリカ系、ヨーロッパ系にもたくさんの英語圏がありますが、アフリカ系、オセアニア系で英語を話す地域もたくさんあります。わたしたちが普段あまり耳にしないような、なじみのない国や地域でも英語が公用語として話されています。

世界のさまざまな国や地域で、自国の言語(母国語)の影響を受けたなまりのある英語が話されていることが想像できます。なまりのある英語を話す人々の中に、日本人も入っているのです。

「かっこよさ」ではなく「中身の濃さ」

わたしは子どもに「まずは英語の発音を気にするのではなく、何を伝えたいのかということが大切なんだよ」と話しています。

なぜなら、せっかく英語を学んでいるのに、発音を気にするあまり、自分の伝えたいことが伝えられないということほど寂しいものはありません。

「こんな発音だから話ができない…」「言い方を間違えたらどうしよう…」なんて思っているならもったいないですよね。

発音は意識をすれば、あとからいくらでも修正ができます。

まずは、どんなことを相手に伝えたいのか、話す内容に着目して「スッキリ伝えられた~!」と思えるようになってから、少しずつ発音のトレーニングなどを行って、修正していったらいいと思います。

フィリピン人の中には、こんなことを言っている人もいます。

「確かにアメリカではきれいな発音で英語を話すと賢く思われるかもしれません。でもフィリピンの特有の『フィリピンなまりの英語』を話すことは心地いいものです。」

このように、自国の言葉の影響を受けた「なまり英語」に誇りを持つ人もいます。

もしかしたら、お子さんの中には、発音を意識するあまり、うまく話せない、話したくないという子もいるでしょう。そういう時は、冒頭でお聞きいただいた音声のように、いろいろな国のいろいろな英語をどんどん聞かせてみましょう。

いろいろな発音を聞くことで、多様性を意識することができ、自分の話す英語に対しても「コレも個性のひとつなんだ」「なまり英語でもオッケーなんだ」と意識できるようになると思います。

まずは「かっこよく聞こえる英語であるか」というよりも、「自分が伝えたいことはなにか」ということに視点を置いて、子どもに自信を持たせられるような助言をしいきましょう。

これから先、いろいろな国の人と接する機会が増えて、いろいろな発音の英語に出会うと思います。子どものころからいろいろな「なまり」のある英語を聞くことは、文化の多様性を知ったり受け入れたりするきっかけになります。

「言葉」は生活と密接に結びついています。学校や英会話教室、家庭で学んだだけでは習得されるものではありません。日常生活や仕事で言いたいことを積極的に伝えることで定着していくものです。

ですから、わたし自身、子どもの話す英語の「音」、つまり発音や間違いよりも、「どんなことを相手に伝えたいのか」ということの大切さを話していきたいと思っています。

実はそれが英語習得の一番の近道なのです。

最後に、こんな言葉があります。

English belongs to those who use it (not to America nor to Britain)

意味は、「英語というのは、アメリカやイギリスのものではなく、英語を話そうとする人のものである。」

つまり、英語というのは「だれもが気軽に使える言葉=万国共通語」なのですよ!

子どもと大人とでは、リスニング力の身に付け方が違う!

残念ながら大人は「聞き流し」するだけでは、なかなか英語を話せるようにはなりません。

一方、子どもは「聞き流し」をするだけで、比較的かんたんに英語が習得できるといわれています。特に0歳から10歳前後までは英語を聞き流すことで、無意識のうちに自然と身に付けることができます。

なぜ同じ「聞き流し」をしても、大人と子どもでは英語の習得に違いがあるのでしょうか? その原因は「脳のメカニズム」にあります。

人間の脳は、成長するにつれて機能が変化していきます。脳の中には、「ウエルニッケ言語野」という、「言語を聞き分ける」部位があります。ウエルニッケ言語野は成長にともない、その機能が変化します。10歳前後までに子どもは、耳から言語を聞き続けるだけでウエルニッケ言語野が柔軟に働き、自然に言葉を聞き分け、理解できるようになります。しかし、大人になると「聞き流す」だけではなく、「意識的に学習しながら聞く」ことをやっていかないと、ウエルニッケ言語野は十分に働きません。このため、0歳から10歳前後までの子どもは大人に比べて柔軟に言語を聞き分けることができ、言語の習得も早いのです。

脳のメカニズムを理解すると、子どもには子どもの脳に合わせた習得方法、大人には大人の脳に合わせた習得方法あることがわかります。

Tアンダーソン博士

今回は、脳のメカニズムに注目し、子どもと大人とでは違う言語習得の方法をお伝えしたいと思います。

言語を聞き分け、理解する脳のメカニズム

冒頭でもふれたように、脳の中には言語を理解することに深く関係する「ウエルニッケ言語野」という場所があります。耳から言語が聞こえると、ウエルニッケ言語野がすぐに反応し、「それが日本語なのか、英語なのか、それとも知らない言語なのか」を瞬時に判断(聞き分け)します。

この時、聞き分けができるかどうかは、ウエルニッケ言語野の中に「その言葉を理解できる場所」が存在しているかどうかによります。

例えば、母国語である日本語が聞こえてくるとすぐに理解することができます。これは、私たちが今まで日本語に触れ続けてきたことにより、ウエルニッケ言語野の中に日本語を理解する場所(「日本語野」という)が形成されているからです。

それでは、フランス語はどうでしょうか。多くの人はフランス語を耳にしても、それを理解することができません。それどころか、フランス語なのか、イタリア語なのかの判断すらできないのではないでしょうか? これはウエルニッケ言語野の中にフランス語を理解する「フランス語野」が形成されていないことが原因です。

このように、耳から聞こえた言語を聞き分け、理解できるためにはウエルニッケ言語野の中に「その言葉を理解できる場所」が形成されていなければならないのです。

では、英語を聞いて理解できるようになるにはどのようにしたらよういのでしょうか?

答えは、英語を理解できる場所である「英語野」をウエルニッケの中に作り出すことなのです。

ウエルニッケ言語野

日本語と英語が両方とも話せるバイリンガルの場合、日本語を理解する「日本語野」と、英語を理解する「英語野」は2cmほど離れたところにそれぞれ独立して存在しています。

この独立した言語野のおかげで、それぞれの言語を混同することなく聞き分け、理解することができます。

しかし、ウエルニッケ言語野の中に「日本語野」だけしかない場合、英語と日本語を混同してしまい、うまく聞き分けることができません。

また、日本語、英語、スペイン語が話せるトリリンガルの場合、さらに3つ目の言語野である「スペイン語野」が独立し、このスペイン語野でスペイン語が理解されます。

つまり、すべての言語は同じ場所で認知されるのではなく、それぞれの言語ごとに「その言語を理解する専用の場所(各言語野)」があるということです。

このように、ウエルニッケ言語野の中に、各言語野を独立させることで、人間は言語を聞き分け、理解することができるのです。

成長と共に「脳の働き」が変化する

上記のように、英語を聞き分け、理解できるようになるには、ウエルニッケ言語野の中に英語野を独立して形成できれば良いということがわかります。しかし、英語野を形成するために必要な方法は、子どもと大人とでは全く異なります。

諸説ありますが、人間の脳は、10歳前後を境に言語を耳から聞くだけで聞き分けることできる子どもの脳から、言語を意識的に学習しないと聞き分けることができない大人の脳へと変化していきます。

10歳前後までの子どもは、言語を楽しく聞いたり歌ったり、また遊んだりしながら体験的に自然と習得していきます。このため、耳から言語を聞き続けるだけで自然に言語を聞き分け、理解できるようになります。つまり、「聞く」という体験を繰り返すだけで自然と言語野が形成されるのです。

このことは、小さい子供が日本語を話し始めるまでの過程を見てみるとよくわかります。

ほとんどの子どもは1歳から2歳ぐらいで言葉を話し始めます。これは、お家の人が日本語で話しかけたり、歌ったり、本を読んだりすることで、日本語を聞き続けているからです。

しかし、言葉を話し始める前から、子どもは親の話していることが理解できています。

我が家の一番下の子は、話し始めるのが少し遅く、2歳3か月になっても「パンマン(アンパンマン)」とか「にゅうにゅう(牛乳)」などといった単語しか話しませんでした。

しかし、私が出かける準備をしているとき「あとは…、水筒を用意すれば準備オッケーかな…」と独り言をブツブツ言っていると、単語しか話さない一番下の子が、真っ先に水筒を持ってきてくれます。

つまり、子どもは話すことはできなくても、耳から聞いた言葉をきちんと理解しているのです。これは、特別意識的に学ぶということではなく、日本語という環境の中で、日常的に繰り返し「聞き流す」ことにより、自然に日本語野が形成されているということです。

英語もこれと同じです。子どもは楽しく英語に触れ続けることができれば、「英語を聞く」という体験の繰りかえしにより英語を聞き分け、理解するための「英語野」を自然と作ることができます。バイリンガルと同じように日本語野とは別の場所に、独立した英語野が形成されます。

しかし、10歳前後を境に、ただ聞き流すだけでは「英語野」を自然に作ることができなくなってしまいます。

脳の機能が変化するからです。

10歳前後になると、徐々に脳が「大人」になっていきます。子どもの脳は「体験的に自然と習得」するのに対し、大人の脳は「論理的に学習して習得」しようとします。

大人の脳は、「頭で理解できないこと」を何度も繰り返し聞いても、それを理解することができません。このため、ただ聞くだけではなく、「それはどういう意味なのか?」を学ぶ必要があります。大人になると「読めない文章は聞きとれない」「書けない文章は話せない」のです。つまり、大人の場合、聞き流すよりも前に、聞くための下準備として単語や文法を学習することが必要になります。

また、英語を聞くことも子供とは違う学習が必要です。「ただ聞く」のではなく、「聞き取りながら書く」ことや、「英語の音声に合わせてつぶやく」など、ただ聞くだけではなく、聞き取るための意識的な働きかけを同時にすることが効果的です。これらを繰り返すことにより英語野が形成され、耳から入った英語を聞き分け、理解できるようになります。

このように10歳前後を境に脳の機能が変化し、言語の習得方法が大きく変わります。

子どもは「聞き流し」、大人は「意識的学習法」で英語を習得できる

10歳前後までは、「英語を聞くという体験をくり返す」ことによって無意識のうちに、自然にウエルニッケ言語野の中に英語野が形成され、英語を聞き取り、理解ですることができるようになっていきます。

では、どのくらいの頻度で英語に触れていると良いのでしょうか。

幼少期に、英語と日本語をしっかりと習得するためには、週1度の英会話教室に通うだけでは少なすぎます。毎日最低、15分は家で英語に触れる機会を作る必要があります。

子どもがリラックスして過ごせる家庭で、英語の歌や物語のCD・DVDや英語での話しかけにより、親子一緒に繰り返し英語で遊ぶ時間を作りましょう。

まず、日ごろ日本語の童謡や歌をBGMで使っているのであれば、そこに英語の童謡や歌もプラスしてください。

童謡は英語で「Mother Goose(マザー・グース)」や「Nursery Rhymes(ナーサリーライムズ)」といいます。よく表紙に「ガチョウのおばさんが描かれたCDや教材」や「卵のおじさん(Humpty Dumpty:ハンプティーダンプティー)が描かれたCDや教材」が売っています。もちろん、「ガチョウのおばさん」や「卵のおじさん」以外の絵のものもあります

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また、英語の物語CDやDVDなどの教材も効果的です。それを15分から、長くても1時間までかけ流すのです。

わたしは、三日坊主どころか一日坊主で終わってしまうぐらいモノグサですが、この「プレーヤーに電源を入れて再生ボタンを押す」ことだけは日課とうして続けることができています。1日たった15分ですが、気が付くと15分が1時間になっていて、1か月にすると、30時間もの時間を英語に触れさせることができます。

これは、毎回違うCDでなくても構いません。毎回違ったものよりも、むしろ同じCDをしばらくの間、毎日継続するということが効果的です。こうすることでウエルニッケ言語野が刺激され、日常の生活の中で自然に英語を聞き分ける英語野が形成されていきます。英語を聞き分ける耳をつくることで、次の「発話」つまり「話す」ということにつながっていきます。

また、より効果的に英語野を作るには、CDやDVDをBGMのようにかけ流す時間とは別に、親も歌ったり踊ったり、物語を口ずさんだりといった「一緒に参加」をすることが大切です。これは、聴覚的な働きかけには、機械の発する音を聞き流すよりも効果的なのは「実際目の前にいる人の発話を聞くことだ」という研究結果に基づいたものです。

しかし、無理は禁物です!親は子どものペースに合わせ、子どもを応援する立場にいてください。子どもが嫌がるときは、必ず休んでください。

そうでないと、英語そのものが嫌いになってしまう可能性があります。

実は、うちの子もその一人でした。わたしは、「英語野」を何とかして、わが子に作ってあげたいという一心で、CDやDVDを1日も何時間もかけ流しをする時期がありました。しかし、子どもは聞きなれない英語を何時間も聞かされたり、観させられたりしていたので、ストレスを感じていたようです。「ママ、もう英語のCD聞きたくない!」と英語を嫌いになりそうな時期がありました。

嫌がるときは、無理にはやらせないほうが良いと思い、すぐにCDやDVDなどを止めました。その後も、子どものペースに合わせながら、無理のない範囲で英語に触れさせる時間を作りました。

無理をさせなかったことが功を奏したのか、今では英語を拒否することはなくなりました。それどころか、英語を身に付けることの楽しさや必要性を理解してくれるようになりました。

お気に入りの英語の物語CDを自らかけ、音に合わせて口ずさんでいます。

このように、子どもが遊びながら、無理なく楽しく踊ったり歌ったりを繰り返すことで、自然に英語野を作り上げていくことができるのです。

一方、大人の脳になると単語や文法などを習得しながら「意識して聞く」という方法で英語を習得していきます。

前述のとおり、大人になると脳の機能が変化して、ただ聞き流すだけでは英語野を形成することができなくなります。

自ら意識的に学習する必要があります。大人は「意味が分からない音」をいくら聞き続けても、それを言語として理解することができないのです。このため、聞くための下準備として単語や文法を学習し、語彙力、文法力を高める必要があります。また、英文を読み解くための「英文読解」も必要です。一言でいうと、バンバン学習することです。

これらの下準備をしたうえで、英語を聞き、「聞きながら、それを紙に書きだす」や、「聞きながら、それを真似して口に出す」など意識的な学習が効果的です。これらを繰り返すことで英語野が形成され、耳から入った英語を聞き分けることができるようになります。

いかがでしょうか。「子どもの脳」と「大人の脳」の違いによる習得方法が分かったかと思います。

この脳のメカニズムの違いと、習得方法の違いを十分に知った上で、リスニングの力を身に付けていくと良いでしょう。

しかし、英語を習慣的に「聞く」環境づくりができない人が多いのではないでしょうか?わたしもそのひとりです。

ついつい忘れてしまったり、めんどくさくなったりして「思っていても実行できない」場合もあります。

そんな時は、「子ども向けオンライン英会話」を活用すると良いと思います。

「子ども向けオンライン英会話」というのは、インターネットで受ける英語の格安レッスンです。

フィリピンやその他、世界の先生たちとオンラインで英会話が楽しめるというもので、大体25分で1レッスンのところが多く、ワンレッスン数百円というところもあります。その運営会社にもよりますが、自分のレッスンは自分で組み立てて、基本的に好きなことを学べるように親などがカスタマイズすることができます。

その利便性を利用して、子どもに英語の「音」に触れ合う機会を与え、外国人講師と触れ合わせて「生の英語」を身をもって体験させることができます。

オンライン英会話で英語環境をスケジュール化することで、「ついつい」や「うっかり」をなくして、習慣的に英語を聞かせる環境を作ることができます。つまり、レッスンの予約をしてそれをしっかりスマホのスケジュール管理や、手帳に書き込んでおくというものです。

最後に、これまで、「子どもの」英語リスニング環境だったり、外国人と触れる機会づくりの話をしてきましたが、ここで一つわたしからの提案があります。

子どもの英語習得を応援する立場でもある親も、一緒に英語を習得してはいかがでしょうか?このページでもお伝えしたように、子どもと大人とでは英語を習得する方法が違います。

しかし、英語を身に付ける努力をする、いや、「努力をする姿を見せる」ことがお子さんの言語習得へのいい刺激になることに間違いありません!

子どもの英語って、いつからなにをはじめたらいいの?

世間には英語習得に対するいろいろな意見があります。

「胎教から始めたらいい」という意見、「3歳までは詰めこみ教育はしないほうがいい」という意見、そして、「母国語をしっかり身に付けた後から始めるのがいい」という意見などです。

結局、子どもの英語習得っていつからなにを始めたらいいのでしょうか?

赤ちゃんはいきなり本を読むことはできません。まず「耳」から言語をインプットし、それを繰り返し聞いたり、使ったりすることによって言語を習得していきます。

「耳」に働きかける言語習得法で重要なのは、臨界期です。臨界期とは、最も刺激に敏感で言語習得に効果のある時期を迎るまでのことです。この臨界期までに、耳から英語の音を入れておく必要があります。

そこで「耳」を鍛えるために一番良い方法が、「英語物語CDのかけ流し」と「英語による話しかけ」です。

今回は、どのような「CD」を選んだらいいのか、また、「英語による話しかけ」とはどういうことをしたらいいのかといったことをお伝えしていきます。

何をいつ、どうやって聞かせる?

まず親は「教育者」ではなく、子どもさんが迷った時のよきアドバイザー、つまり、「導き役」になることです。そして、お子さんがより、英語に興味を持てるように寄り添って、必要な環境を整えていくことが重要です。

そして、「アレもコレも」と子どもにさせることを欲張るのではなく、「今、この子には何をさせるべきか」「どんな能力を伸ばすべきか」ということにフォーカスします。

つまり、その時々に最も必要なものを考えて、環境を整えていっていただきたいということです。

もともと教員で教育熱心であったわたしは自分の子どもに、「少しでも多く英語を与えないといけない。」「英語を始めるのなら、幼少であればあるほど良い!」と子どもの気持ちを考えず、英語のDVDやCDを視聴させたり、英語で話しかけたりしてきました。その結果、第一子は「ママ、(英語で)何言っているのかわからない。」「もうCD聴きたくない。」などと、英語の環境を完全拒否する時期がありました。

大切なのは、そもそも脳が持っている基本的な機能を存分に生かすことです。そして、その基本的な機能というものには、最大に生かせる時期というものがあります。

それに逆らった押しつけのような習得方法は、逆に脳にストレスをかけるものになり、子どもの意欲、つまり「英語を習得したい!」という「こころ」を奪ってしまうものになってしまいます。

ですので、ぜひお子さんに寄り添って、無理強いのないように、英語習得をさせていってあげてください。

人間の言語習得の臨界期には諸説ありますが、10歳ぐらいまでといわれています。子ども自身の性格も大きく関係しているので一概には言えませんが、一般的には「その言語を習得できる環境」に身を置くだけで自然とその言語を身に付けられる年齢は、10歳つまり小学校4年生ぐらいまでといわれています。 

10歳ぐらいまでは、わたしたち日本人も日本語も身に付けられたように、自然と母国語を身に付けられるように脳が機能し、無意識のうちに習得を進めていくことができます。

最強の英語習得方法は、「耳」!

わたしたちは、母国語を身に付けるために、塾に行って勉強するわけではありません。日本語という環境の中で、いつの間にか自然と習得していきます。

その習得過程で、一番の担い手が「きく」ということです。赤ちゃんが母国語を覚えるように、「きく」つまり「耳」に働きかけることから始めることが大切なのです。「耳」に働きかけることは、特に臨界期を迎える前の子どもにとっては重要です。

つまり、生まれた時から、英語で「耳」に働きかけることは、英語習得の基礎となります。

では、どのようなものを、どのくらい聞かせたらいいのでしょうか?

これは、わたしの経験でもお伝えしたように、毎日のようにCD、DVD、英語による話しかけといった「やりすぎは禁物」です。我が家のように、子どもが英語を拒否してしまっては元も子もありません。

そこで活躍するのが、「CD付き英語絵本」と「英語によるはなしかけ」です。

おすすめの「CD付絵本」活用方法

おすすめの「CD付き英語絵本」は、昔から語り継がれているお話や、物語など、子どもが聞いていてもちょっと難しいかな?と思えるものでも大丈夫です。

CDを選んだら、毎日かけ流しします。まずは、「耳」から慣れ親しんでいくのが目的なので、「絵本」は置いておいて、「CD」をかけ流しすることから始めてください。

かけ流す方法のポイントは、「一日一回」「30分以内」「同じ内容」を3カ月以上はかけ流していくと良いでしょう。そうすることで、英語に慣れるばかりか、脳に長期的な記憶として英語を潜在的に残すことができます。

それでは、おすすめの「CD付き英語絵本」をご紹介します。※CDと本が別売りのものもあります。絵本とCDの内容が同じであれば問題ありません。もしくは、絵本は初めは使いませんので、まずはCDのみ準備されてもいいと思います。

①「Frog and Toad CD Audio Collectionかえるくんとがまくんオーディオコレクション(CDのみ4話)」             

「The Frog and Toad Collectionかえるくんとがまくんコレクション(本のみ3話)」

「Day with Frog and Toad(本のみ1話)」かえるくんとがまくんシリーズ」

かえるくんとがまくんの友情シリーズ。とても穏やかで、思わずニッコリ笑ってしまう物語です。多くの人々に読まれている人気シリーズ絵本なので、小さなお子様には特におすすめです。我が家の7歳児は「かわいいお話し」と言っています。

②「MOMOTARO The Boy Born from a Peach ももたろう(英語・日本語CD付き)」

日本の定番中の定番の昔話。日本の昔話を外国人に紹介するのにもいいですね。日本語でお話を聞いたことがない子はいないので、話の内容も理解しやすいと思います。

③「We are going on a bear hunt! きょうはみんなでクマがりだ(英語CD付き)」

同じフレーズが何度も何度も繰り返されるので、とにかくリズムがよく、特に幼いお子さんの反応がいいです。我が家の2歳児も、リズムに合わせて単語を口ずさみながら行進しています。

以上の3点を紹介させていただきました。対象年齢についてはとくに言及しませんでしたが、お子様の性格や反応等により、物語を選んでいただくのが一番かと思います。

また、英語音のみのCDにこだわる必要はありません。紹介したCDの中にあるような、英語音と日本語音が交互に録音されているものでもよいでしょう。なぜなら、母国語は他の言語を習得するための「柱」となるからです。このため、英語音と合わせて日本語もそのまま聞き流しをしていただきたいと思います。

おすすめの「英語による話しかけ」

そして、「英語による話しかけ」というのは、日本人の親が、日本人の子どもに「日本語」で話しかけるように、今度は親が「英語で」子どもに話しかけるというものです。

日常のたわいもない会話を英語でやってみるということです。

たとえば、乳幼児の場合

「お腹すいた?」とか「もうちょっと遊びたい?」などと、声がけをすることが多いと思いますが、それを「Are you hungry,cutie?」「Do you wonna play more?」と英語で言い換えて話しかけるということです。

中学校で習う英語で十分ですが、より現地の人が使うような言い回しで声がけをすると、将来は日本できちんとした英語を学び、幼少期からは自然な英語を身につけられるという二本立てが可能だと思います。

もしそういった「英語による話しかけ」に対し、「どのようにしたらいいのかわからない」とか「なんて表現したらいいかわからない」ということがあれば、外国人と触れ合う機会を増やしてみるといいと思います。

英語サークルに参加したり、親子英会話レッスンを受けたりするなどという方法があります。

そういう機会を持つことが難しければ、「子ども向けオンライン英会話」を活用してみるといいと思います。

「子ども向けオンライン英会話」というのは、インターネットで受ける英語の格安レッスンです。

フィリピンやその他、世界の先生たちと英会話が楽しめるというもので、大体25分で1レッスンのところが多く、ワンレッスン数百円というところもあります。

その運営会社にもよるのかもしれませんが、自分のレッスンは自分で組み立てて、好きなことを学ぶことができます。

各運営会社によって、対象年齢も異なるので、比較してみる必要がありますが、中には0歳から始められるところもあります。

家にいながら、外国にいる外国人の先生の「英語による話しかけ」をしてもらうことができます。CD付絵本の代わりに、英語の絵本を読み聞かせするようにお願いすることもできます。

今は、便利な時代ですのでこういった「格安子ども向けオンライン英会話」を活用するのも一つの手だと思います。

 まとめ

・子どもの英語習得には、「きく」つまり「耳」に働きかけることが大切。

・「耳」に働きかけるためには、特に10歳ぐらいまでに、「CD付き英語絵本」を一日30分、一つの物語をひたすら3か月程度かけ流しする。

・おすすめ「CD付き英語絵本」は、昔から語り継がれている物語が良い。

・「話しかけ」は親が自信がなければ「子ども向けオンライン英会話」の講師に、話しかけてもらったり、歌いかけてもらったりする。

繰り返しお伝えしますが、英語習得は日本語習得と同じで、短期でできるものではありません。

ゆったりかまえて無理のない範囲で、毎日続けられるようにしましょう。

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